基礎デザイン管理番号2-3の2次元画像を元に、3次元化してゆく作業。ノーマルバンパーの不要部分(大きく造型を変える場所)を初めから切り落とし、新しい造型を生み出す作業です。この現場に立会い、初めて解った事があります。デザインは質量を伴う事、、。当たり前の事ですが、完成形しか見た事の無い僕にとっては衝撃の発見でした。
先ずは基礎デザインを元にバランスを見ながらカタチに仕上げます。2次元解釈をそつなく、、すると一番上の画像のようになりますが、実はココからが本番、と言うか人間感覚、経験値の造型が始まります。まとまった感のある造型ですが、「これじゃあ、どこでも創れるカタチだよね、、何の考えがなくても、ここまでは誰でも考えるよ。勝負はココから、、。」と。オリジナル(純正)グリルからバンパーへ流れ込むバンパー上部両端面に違和感を感じて「ここの質量、ボリュームを足さないとデザインの整合性が絶対に取れない、、これに気付く人は少ないかもしれないが、ペイントして完成された姿を見れば一目瞭然!これはHondaのN1デザイナーが残してくれたデザインの余白かもしれない。ここが勝負だな。」と。で、クレイ粘土を更に盛り込み質量を稼ぎます。ここの質量変化に伴い、開口部の造型もバランス化してゆきます。
クレイ粘土を盛り足し、荒く面を出し確認。バランスを見て更に盛り込み、そして削る。それを数回繰り返し、質量に合わせてランプユニットを更に外側にオフセットさせました。それによりアンダーグリル開口部が広がり、より立体な造型が目論めます。ヘッドランプ下の盛り上げたポイントを手触りでも確認。ノーマルの”板”みたいなバンパーが、正しいデザイン性能を伴ったスポイラーになりつあります。
上の画像から盛り上げた部分の面構成が良く解ると思います。バンパーの開口部を上下左右に広げデザインのインパクトを稼ぐ。そして開口部の拡大に合わせて上下左右の造型と全体的な質量をバランス化させてゆきます。線構成から面構成の流れ、純正部品との関連性、そしてその50%の調和と50%の違和感、つまりオリジナルデザインを溶け込ませる、、作業は続きます。
数回の休憩でアタマをクリアにして、今までの過程を忘れ”今ある造型を客観的に観る。”と、バンパー下両端フラップの質量が面造型に対して足りない(負けている)事が判明。更にクレイ粘土を盛り上げて、造型しました。