デトロイトで開催された北米国際自動車ショーで、ゼット・エフ社は燃料消費効率に優れたドライブラインおよびシャシの新技術
を、アメリカ市場に向けて提案
2013 年、世界初の9 速オートマチック・トランスミッションの量産がアメリカでスタート
幅広い製品に革新をもたらす軽量化シャシ技術
今回掲げたテーマ『燃料消費効率の新たな地平を開く』とともに、ゼット・エフ社は革新的なドライブライン(動力源から車輪までをつなぐ駆動システム)およびシャシのテクノロジーをアメリカの自動車市場に向けて展示しました。その北米国際自動車ショー(NAIAS)のブースにおいて、ゼット・エフ社は燃料消費を大幅に削減する製品技術革新に焦点を当てました。そのひとつは、ここアメリカで2013 年に生産開始の運びとなる世界初の9 速オートマチック・トランスミッション。もうひとつは、軽量シャシに関する最新技術解です。アメリカ合衆国では過去数年、、自動車メーカーそれぞれが販売する新車全体に対する燃料消費、すなわちCO2 排出の総量を規制する新しい法規が施行されました。その結果、乗用車の燃料消費効率を改善する自動車技術に対する要求が非常に高まっています。ゼット・エフ社は『燃料消費効率の新たな地平を開く』というテーマを掲げて、このニーズに応える製品群を、2013年1月14 日から27日までの間、デトロイトのコボ・ホールで開催される北米国際自動車ショーに出展しました。高効率ドライブライン・テクノロジーここで鍵を握る存在となるのは、最高水準にあるゼット・エフ社のドライブライン・テクノロジーです。エンジンをフロントに横置きするレイアウトの乗用車のために開発された新しい9 速オートマチック・トランスミッションは、現在、この車両形態において一般的に装着されている6 速オートマチック・トランスミッションに比べて燃料消費を10~16%も削減します。そのラインアップには大小2 機種があり、最大トルクで200~480Nm の範囲にあるエンジンと組み合わせることができます。そして全体の構成をモジュール化したことによって、基本的な変速機を必要に応じた形態に変身させることができます。例えば、異なるメカニズムを持つ発進デバイス(トルクコンバーター、多板クラッチなど)、ハイブリッド、そして全輪駆動(後輪への駆動分岐)などが、フロント横置きレイアウトゆえの限られた空間の中に無理なく収められ、費用対効果にも優れています。この新しいトランスミッションの量産が、2013年、サウス・カロライナ州グレイコートに建設されたゼット・エフ社の新しい生産拠点で始まることが、すでに発表されています。この新工場から、ゼット・エフ社はアメリカの顧客企業に向けて、フロントにエンジンを縦置きするレイアウトに対応する8 速オートマチックトランスミッションも供給してゆきます。これは外装のオイルポンプなしでスタート/ストップ機能(日本では「アイドリング・ストップ」とも呼ばれています)に対応する最初の多段変速機です。この機能の効果も加えて、従来の製品と比べて11%以上の燃料消費削減を実現しています。このトランスミッションも、車両への装着に際しての要求や使われ方に応じた機能要素を、基本となる変速機に付加することができます。その成果が、ハイブリッドから全輪駆動まで、異なるバリエーションを全て含んだ新世代のトランスミッションとなって結実したのです。
軽量シャシ・デザイン
ゼット・エフ社は、デトロイト・モーターショーを訪れる人々に対して、シャシにおける軽量化設計とそれによる重量の削減が、いかに燃料消費効率を改善するかについての展示も行いました。重量を減らす設計と異なる素材のコンビネーションが、軽量なサスペンション・ストラットと車輪を保持するハブキャリアのモジュールを可能にしました。この足まわりのコンセプト(概念)モデルは、従来の鋼とアルミニウムを使ったモジュールの半分の重量しかありません。今回展示されるもうひとつの開発品は、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)で作られた横置きリーフスプリングが、バネとして機能するのと同時に車輪の位置決めも行う、乗用車のリア・サスペンションです。これは、ゼット・エフ社がその軽量化のための専門的な知識と技術を、サスペンション・システム全体にどのように展開するかを示すものです。すでに量産されている軽量化製品として、今回のNAIAS にゼット・エフ社が出展するブースに並ぶその他の製品群としては、SMiCA、すなわちシートメタル(鋼板製)機能統合サスペンションアーム、そして鋼製のペダルに対して50%もの重量削減を実現した繊維強化複合材ブレーキペダルがあります。
リア・サスペンション用CDC(減衰力連続可変制御)
デトロイト・モーターショーのゼット・エフ社のブースで紹介されるもうひとつの革新的製品は、乗員の安全と乗り心地の快適性の両方を増大させるものです。それはCDC(減衰力連続可変制御)、すなわち電子制御ダンピング・システムをシンプルなリア・サスペンション機構に応用した、CDC 1XL(「ワン・アクスル」と読みます)です。ゼット・エフ社が送り出す、この適応制御システムは、小さなクルマに採用されている空間利用効率の高いリア・サスペンション形式に対応する技術解であり、何分の1 秒かの中で走行状況に応じてサスペンションの硬さを変化させ、車輪の接地性を向上させす。
1. ゼット・エフ社は、デトロイトで開催されるNAIAS 2013 に、「燃料消費効率の新たな地平を開く」というテーマを掲げて、革新的かつ燃料消費効率の高いドライブラインおよびシャシのテクノロジーを、アメリカの自動車市場に向けて出展しました。
2. ゼット・エフ社の新しい9 速オートマチック・トランスミッション。柔軟性に富み、パワフルで、費用対効果も高い、エンジン横置きレイアウトに対応した変速機です。
3. ゼット・エフ社ならではの軽量化専門技術: ZF 軽量サスペンションに組み込まれた車輪保持機能を統合した横置きリーフスプリング(緑色の部分)は、サスペンションが伸縮する動きに対してバネとして機能すると同時に、車輪の位置決めも受け持ちます。
4. CDC 1XL が、小型軽量クラスの乗用車、商用車をより安全に、より快適に。後輪荷重の変動が相対的に大きいこのクラスのクルマにとって、減衰力の連続可変制御による恩恵は大きなものです。