ZFの8速オートマチック・トランスミッションを搭載したクライ
スラーの新型『ラム1500』が、北米トラック・オブ・ザ・イヤーを受賞
49人の自動車専門記者、編集者、放送関係者による選考委員会が選ぶ「その年の1台」
スタート-ストップ機能(アイドリングストップ)を加えた8速オートマチック・トランスミッションを搭載し、燃料消費の大幅な削減を実現したピックアップトラック
アメリカとカナダの多くの報道媒体で健筆を振るう49人の自動車専門ジャーナリストたちが、ゼット・エフ社の8速オートマチック・トランスミッションを装着したクライスラーグループの新型『ラム1500』を、「North American Truck/Utility of the Year 2013(北米トラック・オブ・ザ・イヤー)」に選びました。この、北米で販売されるピックアップトラックおよびSUVやミニバンなど
使われ方に応じて多様な形態を持つカテゴリーの乗用車に対する“カー・オブ・ザ・イヤー”の選考委員たちは、『ラム1500』が備える最新のドライブライン(動力源から車輪までをつなぐ駆動システム)をとりわけ高く評価したのです。アメリカ市場を中心に成功を収めているこのモデルの燃料消費は、従来よりも大幅に削減されています。そこに搭載されたゼット・エフ社の8速オートマチック・トランスミッションは、より高い変速比までを備えたギアセット、スタート-ストップ(アイドリングストップ)システム、そして高い伝達効率によって、幅広い状況で燃料消費すなわちCO2排出を削減する資質を備えているのです。2013モデルイヤー(アメリカの自動車販売で慣習的に使われている、毎年秋の新型車導入から始まる年次)の『ラム1500』が標準で搭載しているのは、従来のものと比較して最高出力で42%、最大トルクは13%も増大した『ペンタスター』3.6リッターV6エンジンです。しかしこの新型ラム1500は、3.7リッターのV6を搭載した旧型に対して燃料消費が20%少なくなり、アメリカで施行されている公的な試験法による燃費の数値は1ガロンあたり25マイル(1リッターあたり10.6km)と、同じクラスで最も燃費効率が良いクルマの1台となっています。この成果は、ゼット・エフ社が供給する最新の8速オートマチック・トランスミッ
ションによってもたらされました。その内部には、4組の遊星歯車と5組の回転断続機構(シフトエレメント。そのうち2組は外殻に回転機構を固定する「ブレーキ」、3組は回転伝達を断続する「クラッチ」)によって8ステップの変速段を切り換えるメカニズムが組み込まれています。多段化によって高いギアポジションでの変速比をより高く、すなわち同じ速度で走る時のエンジン回転数を下げたこと、歯車の構成を新しいコンセプトに基づいて改良したこと、個々の歯車の伝達効率を高めたことの相乗効果で、この「8HP」トランスミッションはクルマの燃料消費を低減します。それに加えて、どのギアポジションでも、開放されて相対運動による滑りが発生するシフトエレメントを2組にとどめる機構を考案したことで、力と回転を伝える中でトランスミッション内部に生ずる引きずり抵抗も小さく抑えられています。このトランスミッションに組み込まれた衝動型作動油蓄圧器(HIS: hydraulic impulse oil storage)は、スタート-ストップ機能(アイドリングストップ)を可能にするものです。エンジンから駆動機構までが停止している状態では、トランスミッション内部のメカニズムを動かす油圧も作られません。しかし発進するためにはシフトエレメントを動かす必要があります。HISはエンジンが始動する前にその作動油圧を供給し、シフトエレメントを素早く動かします。衝動型(油圧発生のパターン)作動油蓄圧器の追加だけで実現したスタート-ストップ機能によって、燃料消費を3.3%減少させることができます。新型『ラム1500』のラインアップにおいて、このゼット・エフ社製8速オートマチック・トランスミッションは、5. 7リッターHEMI V8との組み合わせでも選択
することができます。これはクライスラー社にとって初めての8HPとV8エンジンの組み合わせとなります。そして『ラム1500』のコックピットでは、8速オートマチック・トランスミッションをダッシュボード上のロータリースイッチによって操作するデザインになっています。2013モデルイヤーの『ラム1500』に対してゼット・エフ社は、軽量化された車軸をクライスラー社と協力して開発・供給し、また全輪駆動仕様に組み込まれる非駆動時に伝達解除可能な前車軸も供給しています。
キャプション:
1.) 2013モデルイヤーにおいて、新型『ラム1500』にゼット・エフ社の8速オートマチック・トランスミッションが搭載されています。アメリカとカナダの自動車ジャーナリスト49人で構成される審査委員会は今回、そのラム1500を「North American Truck/Utility of the Year 2013(北米トラック・オブ・ザ・イヤー」に選びました。
画像提供:クライスラー社(ラム トラック)
2.) 多様なバリエーションを持つ8HPオートマチック・トランスミッションは、300から1000Nmのきわめて幅広い入力トルクに対応し、様々なカテゴリーの車両に多くのエンジン形式との組み合わせで搭載されています。
画像提供:ゼット・エフ社